国民防空 日本的危機対応の失敗と教訓

国民防空 日本的危機対応の失敗と教訓

出版社: 筑摩書房
著者: 吉川 仁
  • 関東大震災を機に急速に浸透した国民防空。国民を主体的に参加させるその綿密な計画の実態から国民統制の側面までを幅広く検証する。
  • 国民が主体的に参加する国民防空の考え方は、関東大震災を機に全国に急速に浸透した。戦時の国民統制の側面から危機管理に残した教訓までを総合的に考察する。
  • この国の落とし穴は
    有事対応にある
    「想定外」による失敗を繰り返さないために
    第一次大戦後に来たるべき空襲に備え提唱され、軍・当局・国民が一丸になって進めた「国民防空」。関東大震災の経験を宣伝材料にして驚くほど急速に浸透したが、安易な想定や精神力依存、同調圧力による普及などの欠陥も多く、新技術を用いた米軍空襲には機能しなかった。この国民防空の組織や技術は、戦後の災害対策や国土計画・都市計画に引き継がれ現在に至っている。現代日本の危機対応の原点ともいえる国民防空の成立と普及過程を検証し、その教訓を未来へと伝える。
  • まえがき
    第一章 関東大震災から動き出した「国民防空」
    1 「国民防空」の内容と展開過程
    2 関東大震災と軍の教訓
    3 防空研究にみる関東大震災の影響
    第二章 大阪市・東京市の非常変災要務規約と防空演習
    1 大阪への震災影響と東京の動き
    2 防空演習の実相
    3 防空演習への批判
    第三章 時間を要した防空法成立と審議過程
    1 防空法成立前の経緯
    2 帝国議会の審議
    3 関東大震災等の影響
    第四章 国民防空に関する技術の開発動向
    1 軍の研究会と二つの火災実験
    2 軍と学会等による研究体制
    3 米国の空襲技術の開発
    第五章 防空計画・指導要領と「都市の防空的構築」
    1 防空計画と指導要領
    2 「都市の防空的構築」の構想
    3 専門家による防空の都市づくりに関する提案
    4 函館大火と静岡大火
    第六章 防空意識の涵養
    1 国民防空に関する言説
    2 『国民防空読本』と『時局防空必携』
    3 『写真週報』にみる防空啓発
    4 東京市・都の広報と関東大震災
    5 様々な媒体による防空啓発
    第七章 国民防空の手本になった「神田和泉町・佐久間町」
    1 「神田和泉町・佐久間町」の事蹟
    2 防空の模範として脚光を浴びる
    3 国民防空の手本になる
    4 戦後への影響
    第八章 「国民防空」の浸透
    1 防空訓練の思い出
    2 防護団・警防団と燈火管制
    3 町内会・隣組と「常会」
    4 生活基盤になった町内会・隣組
    終 章 国民防空の「失敗」を繰り返さないために
    1 都合よく使われた関東大震災
    2 町内会・隣組を通じて浸透した「国民防空」
    3 「国民防空」の目的――戦争継続のための国民統制
    4 「思い込み」で進んだ国民防空
    5 国民防空の失敗を繰り返さないために
    6 これからの危機対応に向けて
    おわりに
    国民防空の展開 関連年表
    参考資料

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