統治理念と暴力

統治理念と暴力

出版社: 東京大学出版会
著者: 今村 祥子
  • 1998年から始まる民主化以降もなお残るインドネシアの非自由主義的な性質の解明に向け、スハルト体制が強固に作り上げた統治理念(「パンチャシラ」(=5つの国家原理))を明らかにし、一貫して窺える暴力の実態に迫る。未解明とされる過去の惨事の詳細な分析を通じて、現在のインドネシア政治との連続性を浮き彫りにする。
  • 第一章 無法の暴力が支える調和
    一 問題設定
    二 既存研究における位置づけ
    三 本書の構成
    第二章 パンチャシラ――変動する体制、変わらない国家原則
    一 はじめに
    二 パンチャシラの誕生――独立準備調査会
    三 国軍とパンチャシラ
    四 パンチャシラの変遷
    五 反政党とパンチャシラ
    六 スハルトのパンチャシラ
    七 スカルノとスハルト――その違いと連続性
    第三章 九・三〇事件
    一 はじめに
    二 スハルト体制が描く「大衆の自発的行動」
    三 地方における虐殺
    四 一体化する国家と民衆の暴力
    第四章 タンジュンプリオク事件
    一 はじめに
    二 事件の経緯
    三 スハルトのパンチャシラとイスラーム知識人
    四 タンジュンプリオクにおけるイスラーム・シンボル
    五 情報統制
    六 対イスラーム作戦としてのタンジュンプリオク事件
    七 統治手段としての「暴徒」
    第五章 「謎の銃殺」事件
    一 はじめに
    二 ペトルス事件の経過
    三 ペトルスに対する反応
    四 ペトルスに見るスハルト体制の国家と社会
    第六章 一九九八年五月暴動――体制崩壊と残された分断
    一 はじめに
    二 背景――激化する抗議運動
    三 暴動の発生
    四 陸軍における権力闘争
    五 暴動と体制崩壊
    終章 統治理念と暴力
    一 調和を支える暴力
    二 一九九八年五月暴動被害者のその後
    三 スハルト体制の遺産

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