
さみしがりな恋人たちの履歴と送信
出版社: いぬのせなか座
- 町屋良平・山内マリコ推薦。いくつもの時代のカルチャーを経巡りながら生と語りの歴史をかたる、はじめてのフィクション集。
- 町屋良平・山内マリコ推薦。いくつもの時代のカルチャーを経巡りながら生と語りの歴史をかたる、著者はじめてのフィクション集。
- どうして、いつまで、どうやって、
僕らは物語(おはなし)を作るのだろう。
いくつもの時代のカルチャーを経巡りながら、
ささやかに失われてばかりの生と語りの歴史をかたる、
はじめてのフィクション(=小説・詩歌・批評)集。
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[推薦]
町屋良平(小説家)
この本は言葉への恋愛小説だ。恋は苦しい。まるで人生みたいに? 恋は醜い。まるで人間みたいに? 恋は美しい。まるで世界みたいに? 恋は重い。まるで生死みたいに? 私は言葉より早く死んじゃうのに、どうしてこの小説は言葉を愛せると信じさせてくれるのだろう。
山内マリコ(小説家)
若さという足かせ、時代という苦難、増殖するノイズ……それらを「言葉」で超克しようと格闘した日々の全記録。東日本大震災からコロナ禍までの“極私的な自粛期間”に創作されたすべての作品は、信じるに足る、永遠の宝物だ。
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●著者の笠井康平は、2018年5月にいぬのせなか座のメンバーとなり、当時最新のデータ処理や法制度などを現代文学の知と慣習に独自の文体でつないだ『私的なものへの配慮No.3』などを発表してきました。「自分のつづきを書こう。」をコンセプトに、「原稿料」や「契約(書)」について考えるメディア「作家の手帖」の共同編集長も務めています。その著者が、20代半ばから続く約10年の「極私的な自粛期間」に書き溜めてきたフィクションを精選し刊行する、待望の作品集です。
●情報メディア環境の変質が「ふつうのひと」の暮らしをどこまで変えた/変えなかったのか。人々は、どのように自分のための物語をつくり、それを支えに生き、あるいは失敗するのか。中世の和歌文化から近代の歴史物語、近未来の観光・医療まで、なにより東日本大震災と新型コロナウイルス感染症の間にあったはずの(もう忘れられつつある)「時代の気分」をめぐっていく、20編。
●いま、日本語の書き言葉はだれに書かれ、読まれているのか。新しい「文学」の現場はどこにあるのか。一般的には異なるものとされることの多い諸形式(短歌、改行詩、散文詩、書評、日記、報道記録、エッセイ、小説、舞台美術、ゲームの二次創作など)を、そのどれもが「現代の文芸」でしかいられないという考え方のもと、1冊にまとめています。
●巻末にはそれ自体がひとつの作品としても読める全編自作解題(約1.5万字)つき。 - まえがき
Ⅰ
漢字が苦手なその子の宿泊と郵便
じゃないけど、似たもの――60年代少女小説
情報社会の大悪党――あるいは弊社の石井GM
こよみのうた
Ⅱ
プリティ・リトル・ベイビーズ
彼と僕の大事な恋人たち
ふたりと、それを分け合うこと
描写の向こうで眠りたい
Ⅲ
荒木さんの退職
空間とその美女のアドバタイズ
ストイコビッチのキックフェイント
清潔でとても明るい場所へ
Ⅳ
識字率と婚姻のボトルネック
オキナワ医療観光公社
つづかない組織はどうすれば歌えるのか
家柄
Ⅴ
うつさないように
世間体とレソロジカ
よものよのもの
ファースト・マカロニペンギン
自作を語る はじめての現代文芸撰集