
清らかな川の町 花街の小さな女戦士
出版社: 福岡県人権研究所
- 昭和50年代の福岡の歓楽街で働く人たちのリアルな姿をそこに住む少女の目を通して生き生きと描き出していて読みごたえのある作品
- 歓楽街で働く人たちのリアルな姿を、そこに住む少女の目を通して、きれいごとばかりではなく、猥雑さを臆することなく描き、ずるさや怖さ、弱さを描いた上で、ある種の愛らしさへとつなげる描写力がすばらしい。(東直子)
- 福岡市長賞作品の「清らかな川の町」は、昭和四、五十年代の福岡の歓楽街で働く人たちのリアルな姿を、そこに住む少女の目を通して生き生きと描き出していて、読みごたえのある作品です。
地元の人々の交流を描き、実に個性的な人々が次々に登場します。そういう人たちを、きれいごとばかりではなく、猥雑さを臆することなく描き、ずるさや怖さ、弱さを描いた上で、ある種の愛らしさへとつなげる描写力がすばらしいと思いました。
福岡弁をさりげなく生かした会話は、味わい深くて胸に染みました。読み終えたあと、切ない余韻がいつまでも残りました。読後にタイトルの意味が違って見えてきます。
(作家・東直子 福岡市長賞選評(抜粋)より) - 目次
第一章 清らかな川の町(福岡市長賞受賞作)
キヨカワのお化け屋敷
偽女王蜂の罠
マイマイカムリの狼(未発表作)
ゲンゴロウ虫の馬車
ガンダーラはいずこ
第二章 無敵の花街少女(未発表作)
小さな女戦士の目覚め
又ミエコ
呪いのリカちゃん人形
千人を敵に回しても
第三章 清川ロータリー
秘密の花園
赤サギ
第四章 清らかな男たち
ハンタカ
幸せの黄色いヨッちゃんTシャツ
ジュディ・オングに魅せられて(未発表作)
鉞の太郎さん
第五章 学び舎(未発表作)
チキュウギとチキュウオウギ
シャチ教師VS清川のクンタ・キンテ
第六章 柳と三日月
出稼ぎ
第七章 清らかな風の吹く町
化石の街
仏壇返し
サブちゃんの白い雲
さいたらおばさん
清川の女戦士たち
夕日との別れ
第八章 ぺぺやんと寅やん
〝鰻釣り〟の春さん
春さんのサンドイッチ
〝あけぼの荘〟事件
清川の小さな女戦士
〝女狐の鳥居〟
〝鳥居〟の奥に生きる人々
仲直りの放生会
突然の別れ
いつの日か
平成二五年度福岡市民芸術祭文芸部門(小説)選評(抜粋) 東 直子
初出