学術書を読む

学術書を読む

出版社: 京都大学学術出版会
著者: 鈴木 哲也
  • 「専門化の罠」に落ちない学びのために.「書く」現場に携わる大学出版の編集者が専門を越え,広く知の世界に触れる実践を語ります.
  • 【推薦】佐藤文隆氏(元日本物理学会会長・京都大学名誉教授)
    人類は二,三千年の文明とともにあり,この先達の遺産を受け継ぐのが読書である。二,三十年の実人生だけでは,食っていく単能な専門家にはなれるが,文明人にはなれない。そうはいっても専門への集中,研鑽も大事である。本書ではこのバランスを “「専門外」の四つのカテゴリー”という考えで上手にマネージする秘訣が提示されている。学術書編集の達人が披露する実践論であり,文明人になる人生の処方箋だ。
  • 「学びたいことが学べない」―1通のメールから
    第I部 考える―学術書を読む意味
    第1章 「現場の哲学」が求められる時代―「専門」の限界
     複雑さを増す社会の中で
     方法や認識の壁を越える対話としての読書
    第2章 自省作用と創造―専門外0 の学びの機能とその楽しさ
     量子力学を拓いたハイゼンベルクの読書
     「実用主義」「理想主義」の肥大を抑える外部からの眼
     専門外の学びはそもそも楽しい―読書会の取り組みから
    第3章 「わかりやすい」からの脱却
     「わかりにくい」本,「わかりやすい」本
     「わかりやすい」とバブル時代
     丁寧なコミュニケーションを損なう「わかりやすい」
    コラム 1 塩漬けにする/補助線を待つ/人に聞く
         ―「わからない」ときはどうするか?
    第II部 選ぶ― 専門外の専門書をどう選ぶか
    第4章 「専門外」の四つのカテゴリー
    第5章 【カテゴリー①】良質の科学史・社会文化史を読む
         ―遠い専門外の本を選ぶ
     科学史を読む―世界認識の歴史と人の営みとしての科学の姿に触れる
     社会文化史,歴史学史を読む― 市民科学の世界史的意義にも繋がる
    第6章 【カテゴリー②】「大きな問い」と対立の架橋
         ―近い専門外の本を選ぶ
     「大きな問い」のある本
     対立を架橋する本
     著者の生き方としての学問を知ることができる3冊
    第7章 【カテゴリー③】古典と格闘する―「メタ知識」を育む
     メタ知識としての古典が拓くもの
     プルタルコス『モラリア1 』を事例に
    第8章 【カテゴリー④】現代的課題を歴史的視野から見る本
    コラム 2 学識のある人を慕う,という本選び
    第III部 読む―学術書の読書から現代を考える
    第9章 博識は「ノオス」を教えない―速読・多読は大切か?
     「速読・多読」を強いるもう一つのパラダイム
     「確証バイアス」と速読・多読―「知識か情報か」ふたたび
     セネカの戒め
     本を塩もみして,芯を洗い出す
    第10章 知の評価の在り方を変えよう
     サッカー選手と野球選手の価値を,取った得点で比較する?
     「知を数で計る」仕掛け人たち
     「知を数で計る」思考はどこから来たか
    第11章 危機の時代を乗り越えるための知を
     「知を数で計る」ことと「わかりやすい」
     専門の知を越えた対話で,現実世界の見えない根に触れていく
    あとがき―「対話型専門知」を求めて
    参照文献

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