学習社会の創造

学習社会の創造

出版社: 京都大学学術出版会
著者: 池上 惇
  • 良質の少量生産システムで零細、中小企業を再生させ、貧困を克服するとともに、創造的学習による地域コミュニティの再生をも目指す。
  • 経済が閉塞状態にあると言われる現代の日本社会で、「学びあい育ちあいの場つくり」はいかにして実現するだろうか。多くの教育現場や企業現場にあって、穏やかで、互いを尊重しあう、共に生きる場を求めることは可能なのか。本書は、文化政策・まちづくり大学校(市民大学院)の創立に関わった著者が、大きな広がりをもつ学習社会の構築を目指し、人口減少地域に学習拠点を置いて、試行錯誤を重ね、多数の篤志家の支援を得て、復興、地域再生の拠点とする試みの実践記録である。
  • はしがき―穏やかな、ともに生きる健康長寿社会を目指す方々へ
    序 章 自然からの学習と「学びあい育ちあう」社会を目指して
    第1章 これからの学習社会
    ―被災地での新たな活動をめぐって
    1 はじめに―ふるさと創生大学による学習の場づくり
    2 共に歩んだ道―池田清氏の神戸研究
    3 社会人と留学生に博士の学位を―十名直喜氏の定年に思う
    4 おわりに―高校生への感謝の言葉とふるさと創生大学憲章
    第2章 学習社会の創造
    ―日本の思想としての学習社会構想
    1 はじめに―学習社会の日米比較
    2 日本における学習社会の構想
    3 行基の実践
    4 欧米の人権論の検討―人権論と学習論
    第3章 学習格差を克服するには
    ―「恣意」と「生命・生活への欲求」、新たな人権論の登場
    1 はじめに―法を暮らしの中に生かす動き
    2 欧米の動き―学習権確立への道=学習社会論を提起したイギリス工場査察官の労働日研究
    3 情報社会と学習社会
    4 所得格差・文化格差の是正へ
    5 生存競争社会における人間の孤立化と弱者の社会的排除
    第4章 二宮尊徳の学習理論
    ―二宮尊徳による報徳=学習社会の実現
    1 はじめに―報徳という表現による学習社会の創造
       ―自然や人間同士の共生・学びあい育ちあいを実現する道
    2 食文化思想・実践から見た尊徳思想
    3 衣の文化、インテリア・デザインの現代的な展開
    4 学習社会の創造における私的所有の意義と限度
       ―尊徳思想における小農の位置と地域ファンド形成の役割
    第5章 推譲思想と尊徳仕法
    1 はじめに―現代に生きる尊徳思想
    2 推譲による総有と信託制度の活用
       ―″荒蕪を開く物語″が生み出す推譲・総有と信託制度
    3 推譲による総有と私的所有を維持しつつ超えるもの
       ―学習社会の創造を可能にする所有形態を考える
    4 相互扶助の文化によって新しい地域の産業を創る
       ―地域循環型産業の展望を拓くには
    第6章 文化資本の経営を生み出す学習社会
    ―文化資本の未熟な学習社会から、成熟した社会への発展
    1 はじめに―人間発達史観から見た、実現可能な学習社会の目標=文化資本の経営
    2 通信制教育研究システム
       ―第1回講義録「文化資本の経営 事始め」
    3 コモン・ストックから人的投資へ(1)
    4 コモン・ストックから人的投資へ(2)
    5 結論と展望 コモン・ストックから人的投資へ(3)
    第7章 討論の広場
    1 コモン・ストック論に寄せて
       ―池上惇先生への応答
    2 文化資本の経営を考える
    3 文化資本の経営へのコメント
    4 文化資本による自己確立と″微妙な差異を創造するデザイン能力″
    5 ふるさと創生大学講義録を読んで
    第8章 人権と能動的な力量
    ―A・センの所得貧困と能力貧困を基礎に貧困克服の道を探求する
    1 はじめに―河上肇による現代貧困論の提起と生命・生活の危機
    2 T・ピケティ『21世紀の資本』
    3 能力貧困を克服する人類の経験
    4 A・センの能力貧困論
    5 身につけた力(エンタイトルメント)と能動的な力(エンパワーメント)
    おわりに―学習社会の創造=格差克服への道が目指すもの
    ―ふるさと学校づくりを日本と世界に
    参考文献
    索 引

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