漂泊のアーレント 戦場のヨナス

漂泊のアーレント 戦場のヨナス

出版社: 慶應義塾大学出版会
著者: 戸谷 洋志、百木 漠
  • 二〇世紀の破局を二人はどう生き、そこに何を見たのか。「二一世紀の全体主義」に警鐘を鳴らす友情の記録。
  • 二〇世紀の破局を二人はどう生き、そこに何を見たのか。「二一世紀の全体主義」に警鐘を鳴らす友情の記録。アーレントとヨナスの人生と思索の軌跡を追い、二一世紀を歩むわれわれへの問いかけを探る。
  • ▼二〇世紀の破局を二人はどう生き、そこに何を見たのか。
    「二一世紀の全体主義」に警鐘を鳴らす友情の記録。
    政治の意味を問い続けたハンナ・アーレントと、
    未来への責任を基礎づけたハンス・ヨナス。
    盟友として、ユダヤ人として、思想家としてナチズムに対峙し、
    ともに二〇世紀を駆け抜けた。
    二人は、時代が課した過酷な宿命に向かい合い、
    その破局に対して、それぞれの仕方で、答えを模索し続けた。
    その二人の思想は「出生」という概念において、閃光のように交錯する。
    アーレントとヨナスの人生と思索の軌跡を追い、
    二一世紀を歩むわれわれへの問いかけを探る。
    【「アーレントの葬儀におけるヨナスの弔辞」第6章より】
    僕たちは、別々の場所に長く引き裂かれ、
    善悪の判断が嵐に曝されたように崩壊していく世界を、切り抜けてきた。
    重要なことは何で、そうではないことは何なのか、
    本当に価値があることは何なのか、
    恐怖すべきことは何なのか、
    軽蔑すべきことは何なのか、
    そういうことに対して僕たちは同じ気持ちを抱いていた。
    それだけはいつも確かだったね。
  • 凡例・文献略号一覧
    プロローグ 二〇世紀の破局を超えて
     アーレントとヨナス
     漂泊と戦場
     二人の交錯点――「出生」
     本書の構成
    第1章 友情と恋愛のあいだ――誕生から出会いまで 1903~1933
     アーレント 〇~二七歳
      幼年期と少女時代
      ユダヤ人としての自覚
      ヨナスとの出会い
      博士論文「アウグスティヌスの愛の概念」
      ナチ前夜の結婚
     ヨナス 〇~三〇歳
      ヨナスの出生
      読書の世界へ
      シオニズムへの夢
      大学時代――フライブルク・ベルリン・ヴォルフォンビュッテル
      アーレントとの出会い
      古代グノーシス主義の研究
    第2章 漂泊と戦場――ナチズムとの対峙 1933~1945
     アーレント 二七~三九歳
      ナチス政権の成立
      政治的目覚め
      パリのアーレント
      伝記『ラーエル・ファルンハーゲン』と「自覚的パーリア」
      ブリュッヒャーとの出会いと結婚、そしてギュルス収容所
      新天地アメリカへ
     ヨナス 三〇~四二歳
      ドイツからの亡命
      ハイデガーへの失望
      エルサレムの日々
      「われわれはこの戦争に参加する」
      ローレとの結婚
      ユダヤ旅団への参加
      戦場の思索
    第3章 新たな始まり――それぞれの再出発 1945~1961
     アーレント 三九~五五歳
      戦争の終わり、そして二人の恩師との再会
      イスラエル建国への絶望
      全体主義とは何であったのか
      新たな「始まり」への希望
      『人間の条件』における「始まり/出生」論
     ヨナス 四二~五八歳
      母の死
      「人間を信じるということが必要だった」
      パレスチナからカナダへ
      「私には小さな子どもがいる」
      ニューヨークへ、そしてアーレントとの再会
    第4章 亀裂――アイヒマン論争 1961~1964
     アーレント 五五~五八歳
      「悪の凡庸さ」についての考察
      アイヒマン論争
      ショーレムの怒り
      語り口の問題
      アーレントからの応答
      あえて裁くこと
     ヨナス 五八~六一歳
      アイヒマン裁判への態度
      アーレントへの手紙
      「誇りをもって身につけよ、この黄色い星を!」
      決裂と和解
    第5章 精神の生活、生命の哲学――方向転換の季節 1964~1975
     アーレント 五八~六九歳
      〈活動的生活〉から〈精神の生活〉へ
      一者のなかの二者
      晩年のアーレント
     ヨナス 六一~七二歳
      「死の存在論」
      ハイデガーとニヒリズム
      哲学的生命論の戦略
      生命における死と実存
      人間の自由と想像力
      不死性の神話
      ヨナスの生命とアーレントの生命
    第6章 最後の対話――テクノロジーへの問い 1975~1993
     アーレント 死去後
      「究極的なもの」をめぐって
      超越性と内在性
      科学技術をめぐる対話
      見ることと聞くこと
     ヨナス 七二~九〇歳
      「世界はずっと冷たくなってしまった」
      晩年のアーレントからの影響
      科学技術文明への問い
      「未来への責任」という難問
      『責任という原理』
      責任と「出生」
      「神があなたと一緒に作ろうとした本」
      哲学者であり、同時に、ユダヤ人である
     補論 歴史をめぐるアーレントとヨナスの対話
      コンスタンツ大学哲学文書館
      一九六九年のアーレントとヨナス
      論文「流転と静止――歴史の理解可能性の根拠について」
      アーレントからの批評
      『精神の生活』への影響と「魂の交流」
    第7章 考察――アーレントとヨナスの比較 20xx
     共鳴と反発――漂泊と戦場がもたらしたもの(百木 漠)
      1 アーレントとヨナスの差異
      2 差異の理由
      3 アーレント出生論の神学的基礎
      4 ヨナス出生論の神学的基礎
      5 ふたりが遺したもの
     自然・対話・想像力――アーレントとヨナスにおけるテクノロジーの問
     題(戸谷洋志)
      1 着想へ至る経緯
      2 終わりなき進歩と自然性
      3 テクノロジーとしての科学
      4 アーレントにおけるテクノロジーの脅威――公共性の空洞化
      5 ヨナスにおけるテクノロジーの脅威――倫理の空洞化
      6 そして全体主義へ
      7 抵抗としての対話
      8 抵抗としての想像力
      9 ここにいる者とともに、ここにいない者のために
     
    エピローグ テクノロジー的全体主義に抗して
     未来に向けて
     現代=近未来
     テクノロジー的全体主義の出現

    あとがき
    参考文献

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