部落差別解消推進法を学ぶ

部落差別解消推進法を学ぶ

出版社: 解放出版社
著者: 奥田 均
  • 部落差別解消推進法は、部落問題を考えるうえで優れたテキストである。法律から部落問題を学ぶ。
  • 2016年12月に部落差別解消推進法が制定された。一方で、この法律は部落問題を考えるうえで実に優れたテキストである。本書は、この問題意識を整理し、法律から部落問題を学ぶための入門書である。
  • 2016年12月に部落差別の解消の推進に関する法律(部落差別解消推進法)が制定された。同法第1条には「部落差別のない社会を実現することを目的とする」と明記されている。「部落を変える」時代から「社会を変える」時代への力強い宣言である。ついに「建設」の時代が本格的に開始されるときが来た。
     一方、この法律は部落問題を考えるうえで実に優れたテキストである。いや部落問題だけではなく、さまざまな差別問題や人権課題に取り組むうえでの大切な論点がちりばめられている。本書は、この問題意識を整理し、法律から部落問題を学ぶための入門書である。
  • まえがき
    第1章 部落差別解消推進法が制定された!
    1 部落解放への決意ほとばしる部落差別解消推進法
       二〇一六年一二月九日 部落差別解消推進法が成立
       まずは部落差別解消推進法を読んでみよう
       「地対財特法」期限切れのくやしさ
    2 部落問題にかかわる法律の変遷
    第2章 部落差別解消推進法の学びの核心―3つのポイント
    1 第1のポイント―部落差別の存在認知(第一条)(第五条)(第六条)
       部落差別の存在を法律で認知した
       第一条と市民の実感のずれ
       一番実感があるのは被差別当事者自身
       当事者が語らなければ伝わらない部落差別の現実
       差別の現実を伝えさせない差別のカラクリ
       奇妙な理解との遭遇
       部落問題だけではない差別のカラクリ
       差別の存在認知における必須要件としての調査と学習
    2 第2のポイント―差別のとらえ方のパラダイム転換(第一条)
       社会変革を謳った部落差別解消推進法
       障害者差別解消法に見る「社会モデル」論の登場
       差別解消法の対象者は誰か
       問われているのは「区別」を「差別」に転化した社会のあり方
       解放への展望
    3 第3のポイント―「寝た子を起こすな論」への実践的決着(第五条)
       「寝た子を起こすな論」を否定した部落差別解消推進法
       「地対財特法」期限切れ後の部落問題学習の後退
       「寝た子を起こすな論」の威力
       「寝た子」は起こされている
       「寝た子を起こすな論」の間違いと罪
       なぜこれほどまでに根強いのか
       「寝た子を起こすな論」克服の教育現場での実践的課題
    第3章 部落差別解消の政策立案をめざして
    1 問われる地方自治の真価(第三条)
       国及び地方公共団体の責務
       構えと仕組みを整える
       厳しい現状を示した自治体アンケート結果
       部落差別の存在しない自治体はない
       地方自治の醍醐味
       困ったことの克服へ
    2 政策立案・遂行のための発想の転換(第三条)
       部落・行政・市民の三者協働の時代
       法律の周知徹底
    3 差別のとらえ方の発展(第三条)
       政策立案の前提となる差別のとらえ方
       「存在論」という差別のとらえ方
       「状態論」という差別のとらえ方
       「関係論」という差別のとらえ方
       「関係論」から見た実績
    第4章 相談活動と実態調査―豊かな実践を求めて
    1 相談活動の強化・充実(第四条)
       古くて新しい課題
       相談活動の意義
       相談活動の現状
       人権擁護委員制度をめぐる議論
       隣保館活動の再評価と活性化への期待
       相談活動の抜本的強化
    2 実態調査の実施(第六条)
       実態調査のすごみ
       五領域への調査対象領域の拡大
       五領域論からの提起
       どんな調査が必要か
       当事者調査への疑問に答える〈その1〉
       当事者調査への疑問に答える〈その2〉
       調査の実施は国だけでよいのか
    第5章 差別禁止、被害者救済、人権委員会設置の法的整備
       「同対審」答申が求めた三つの法律
       差別禁止法制定の意義
       差別禁止法の制定は国際社会の標準規格
       差別禁止法の制定をめざして
       被害者救済・人権委員会設置にかかわる法的整備
       東京都国立市における差別禁止条例の制定
    第6章 部落差別解消推進法が制定された「よっぽどの理由」
    1 部落差別解消推進法の実現を導いた三つの「よっぽどの理由」
       「よっぽどの理由」1―巨大な国民運動の成果
       「よっぽどの理由」2―攻撃的差別の登場と対応できない現行法制
       「よっぽどの理由」3―もうこれ以上無視しえなくなった国際人権の力
    2 社会状況に点火した二つの要因
       二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催
       引き金を引いた和歌山の部落解放運動
       状況が沸点に達した二〇一六年
    【参考資料1】
    二〇〇〇年大阪府「同和問題の解決に向けた実態等調査(同和地区住民意識調査)」調査表
    【参考資料2】
    二〇一一年大阪府「行政データを活用した実態把握」概要
    【参考資料3】
    各種人権条約に見る無差別平等・差別の禁止規定(抜粋)
    【参考資料4】
    国立市人権を尊重し多様性を認め合う平和なまちづくり基本条例
    【参考資料5】
    差別禁止の法制定を求める日本政府に対する国連の主な勧告や総括所見(抜粋)

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