基地問題の国際比較 「沖縄」の相対化
出版社: 明石書店
- 世界の基地問題の比較を行い、そこから沖縄基地問題解決のための政策を導出する国際共同研究。基地問題を比較分析する試みは世界的に見ても稀有。9つの国・地域で展開される紛争とその発生要因を、当地の歴史・文化・宗教的背景を押さえた執筆者たちが解明。
- 序文[川名晋史]
第1章 なぜ,どのように比較するのか[川名晋史]
1 基地問題(base problem)と基地紛争(base dispute)
2 比較の構造/類型
3 ケースの配置
第2章 国内政治への転回――基地研究の理論的系譜[川名晋史]
1 はじめに
2 推力
3 抗力
4 BPT以後
5 おわりに
第3章 トルコの反基地運動が沖縄に与える示唆――アイデンティティ・ポリティックスを手掛かりとして[今井宏平]
1 はじめに
2 1960年代のトルコにおける反基地運動
3 2003年イラク戦争とトルコにおける反基地運動
4 2010年代のトルコにおける反基地運動
5 基地政治をめぐるアイデンティティ・ポリティックス
6 沖縄における反基地運動とアイデンティティ・ポリティックス
7 おわりに
第4章 米韓同盟における基地政治――「同盟の再調整」と基地契約の見直し[石田智範]
1 はじめに
2 同盟協議の背景
3 在韓米軍プレゼンスのあり方をめぐる交渉
4 軍の作戦運用上の裁量権をめぐる交渉
5 おわりに
第5章 有機フッ素化合物汚染をめぐる政治・行政対策過程――ドイツ連邦を事例に[森啓輔]
1 はじめに
2 先行研究と課題
3 PFOA/PFOSのEUおよび連邦・連邦州レベルでの規制
4 PFOS/PFOA汚染と地位協定の絡まり合い
5 議論:ドイツの事例から見る沖縄でのPFAS汚染
6 おわりに
第6章 空母艦載機部隊の岩国基地への移駐――基地政策における負担と経済的利益の配分[辛女林]
1 はじめに
2 国内政治における基地問題
3 移駐計画の経緯と関連主体
4 移駐反対から政府のインセンティブによる選好変化まで
5 合意焦点の変化
6 おわりに
第7章 サウジアラビアにおける米軍基地と基地政治[溝渕正季]
1 はじめに
2 湾岸諸国における米軍基地の概要と近年の動向
3 サウジアラビアにおける米軍基地と基地政治
4 おわりに
第8章 対話の基地政治――グリーンランド・チューレ空軍基地の今日的位相[高橋美野梨]
1 はじめに
2 玉城デニー県政における対話と基地政治
3 在グリーンランド米軍基地をめぐる政治と対話
4 三者の意図をたぐる
5 おわりに
第9章 スペインの民主化と基地の返還合意――1980 年代後半のトレホン基地返還をめぐる二国間交渉と米国の対応[波照間陽]
1 はじめに
2 スペインの米軍基地縮小要求の背景
3 米国の国内外情勢に対する認識
4 二国間の問題を多国間で解決する
5 おわりに
第10章 シンガポールの「準基地」政策――基地紛争の予防と管理[古賀慶]
1 はじめに
2 「準基地」概念と理論
3 国際戦略環境:地域自立性の歴史的発展
4 国内環境:「基地紛争」の予防策
5 おわりに
第11章 イタリアの米軍基地――冷戦の前線から戦力投射の中心へ[マッテオ ディアン]
1 はじめに
2 冷戦期の在イタリア米軍基地
3 冷戦期のイタリア国内政治における米軍基地
4 地位協定と法的枠組み
5 ポスト冷戦期の米軍基地の戦略目的と構造の変化
6 現代イタリアの政治論争における米軍基地
7 冷戦後の地位協定と法的枠組み
8 おわりに
終章 政策の処方箋[川名晋史]
1 不可視化
2 多国間枠組み
3 三者間協議
あとがき
執筆者紹介