視覚障害教育の源流をたどる
出版社: 明石書店
- 2018年、明治時代初期に開校した国内初の公立特別支援学校「京都盲啞(もうあ)院」の関係資料約3000点が、国の重要文化財に指定された。資料には、近代日本の障害者教育で先駆的な役割を果たした教材や文書の数々が含まれる。これら貴重な資料の調査研究に長年取り組んできた著者が、その解説を通じて特別支援教育の源流や社会参加の原点を探る。
- はじめに――重要文化財に指定された〈京都盲啞院関係資料〉
第1章 盲教育のはじまり――京都盲啞院と古河太四郎・鳥居嘉三郎の時代
「日本最初盲啞院」とは?
近代日本で最初の盲学校
なぜ、京都で?
古河太四郎の発起と教育観・障害観
古河太四郎の学校づくりと教材開発
第二代院長・鳥居嘉三郎の時代
第2章 京都盲啞院資料をよみとく
1 文字を知る――点字以前
盲生背書之図/木刻凹凸文字/知足院の七十二例法/紙製凸字/盲目児童凸文字習書/蠟盤文字/自書自感器/表裏同画記得文字/墨斗筆管
2 読み書き
凸字イソップ/凸字『療治之大概集』/盲生鉛筆自書の奥義/盲生の鉛筆習字/訓盲雑誌
3 数を計る
盲人用算木/盲人用算盤/手算法/さいころ算盤/マルチン氏計算器/テーラー式計算器
4 世界に触れる――地理
立体地球儀/凸形京町図/針跡地図ほか
5 力と技を身につける――体育・音楽・職業訓練
盲生遊戯図・体操図/オルガン/職業教育/按摩機
6 点字の導入
盲啞院への点字の導入/ステレオタイプメーカー/ルイ・ブライユ石膏像
7 学校づくり
盲生教場椅卓整列図/ろう教育史料/瞽盲社会史と検校杖/受恵函
第3章 盲啞院・盲学校が育んだ文化
これからの視覚障害教育に活かせる文化として
障害者の生きる社会を問う文化として
参考文献/関連拙稿
京都盲啞院関係資料重要文化財指定番号一覧
あとがき
初出一覧