ボスニア・ヘルツェゴヴィナを知るための60章
出版社: 明石書店
- 旧ユーゴ諸国の中で特に内戦のイメージが強い地域だが、かつてはユーゴのスローガン「友愛と統一」を体現するかのような、異なる民族・宗教・文化が混在する多様性に満ちた共和国だった。紛争を乗り越え、新たな共存のあり方の摸索を続ける国の魅力を活写。
- はじめに
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ基礎データ
Ⅰ ボスニア・ヘルツェゴヴィナという国
第1章 ボスニア・ヘルツェゴヴィナ――特殊な地域
第2章 「ユーゴスラヴィアの縮図」ボスニア――多民族、多文化の共存と対立
第3章 自然環境――山、川、そして海
第4章 国のシンボル――国旗、国章、国歌
【コラム1】分断されるシンボル――2種類のマルク紙幣
Ⅱ 歴史
第5章 中世のボスニア――激動の時代
【コラム2】ステチャク
第6章 オスマン帝国時代――異文化混淆を自文化とした緩やかな生活の営み
【コラム3】メフメト・パシャ・ソコロヴィチ――400年先を見た国際人
第7章 ハプスブルク帝国の統治――占領から併合へ
第8章 サラエヴォ事件と第一次世界大戦――プリンツィプ評価の変遷
第9章 戦間期のボスニア――ムスリム政党の実利追求
第10章 第二次世界大戦とパルチザン戦争――内戦の舞台となったボスニア
第11章 社会主義期のボスニア――多民族の共和国
第12章 連邦解体とボスニア紛争――秩序の崩壊、民族に基づく再編成
第13章 ボスニア紛争における暴力――民族浄化とジェノサイド、性暴力
第14章 紛争後のボスニア――進まない統一への歩み
Ⅲ 多様な地域、多様な人々
第15章 サラエヴォ――多様性と寛容の都市
第16章 モスタルとスタリ・モスト――都市のシンボルとしての橋
第17章 川と緑の街、バニャ・ルカ――居心地の良い土地を求めて
第18章 ボスニア・クライナ――ボスニア西部の「荒れる辺境」
【コラム4】ヤイツェ――革命の聖地の昔と今
第19章 東部ボスニア――その多様性と波乱の歴史
第20章 ヴィシェグラード――『ドリナの橋』とアンドリッチ
第21章 ヘルツェゴヴィナ――その歴史と地理
【コラム5】ブルチュコ
第22章 構成三民族――進む相互の分断
第23章 マイノリティ――「ユーゴスラヴィア人」、ロマ、ユダヤ人
第24章 民族間関係――「その他の人々」
第25章 ボスニアの海――ネウムとペリェシャツ橋
Ⅳ 政治・経済・国際関係
第26章 政治の概観――民族間バランスと民族的権利の保障のための政治制度
第27章 デイトン体制をめぐって――民主国家建設を阻む要因
第28章 「第三エンティティ」問題――クロアチア人の自治要求
第29章 国際社会とボスニア――上級代表とその権限
第30章 経済の概観――これからの成長に向けて
【コラム6】アグロコメルツとフィクレト・アブディチ――地方ボス支配
第31章 観光業――活かしきれないポテンシャル
第32章 国際関係――バルカン諸国との微妙な関係
第33章 EU統合の道――ボスニアとEUとの関わり
第34章 戦争犯罪人を裁く――旧ユーゴスラヴィア国際刑事裁判所(ICTY)とボスニア
【コラム7】スレブレニツァ今昔
第35章 環境問題――サラエヴォのスモッグ
【コラム8】ボスニア・ヘルツェゴヴィナとの橋渡し役30年
Ⅴ 社会・生活
第36章 宗教の概要――「ボスニア的なるもの」は存在するか
【コラム9】ボゴミルをめぐって
第37章 修道生活――修道組織の過去と現在
【コラム10】メジュゴーリェの「奇蹟」
第38章 饒舌な食文化――ボスニア鍋を囲んで
第39章 メディア――公共「政府広報」対「中立」民間放送
第40章 教育――民族による分断を超えられるか
第41章 命がけで笑い、笑いがたましいを救う――ボスニアの人々とユーモア
第42章 移民・難民とディアスポラ――世界に広がるボスニア社会
第43章 『サラエボの花』たち――ボスニア・ヘルツェゴヴィナの心理社会的支援について
第44章 2014年「ボスニアの春」――格差社会への不満、民族主義への異議
第45章 ナショナリズムに抗する人々――ボスニアの市民運動の成果と課題
Ⅵ 文化
第46章 言語――三つの言語? 一つの言語?
第47章 ボスニア・ヘルツェゴヴィナと文学①――中世文学から近代文学
第48章 ボスニア・ヘルツェゴヴィナと文学②――20世紀以降の文学
第49章 ボスニア映画――サラエヴォの銃弾からボスニア紛争まで
【コラム11】『ヴァルテルはサラエヴォを守る』――パルチザン映画とボスニア
第50章 近代美術――よそ者との関わり合いから生まれる美術
第51章 建築・土木――色濃く残るオスマンの痕跡
【コラム12】「スポメニク」の世界――巨大なパルチザン記念碑の今
第52章 伝統音楽セヴダリンカ――古の都市の音風景
第53章 ポピュラー音楽――ユーゴスラヴィア・ロックの中心
第54章 ボスニアのニュー・プリミティヴ――ユーモアの中の批判精神
第55章 サッカー――対立の触媒、和解の契機
【コラム13】その他のスポーツ
第56章 サラエヴォ五輪とその遺産――「1984」をめぐる光と影
Ⅷ 日本との関係
第57章 ヤドランカ――「私たち」の宝になったバルカンの歌姫
第58章 オシムと日本サッカー――代表通訳の目から見た「恩人」の背中
第59章 JICAによる支援――国際協力の現場から
第60章 経済交流――日本企業の関心を集め始める
【コラム14】植民地ボスニアと植民地台湾
【コラム15】サラエヴォ事件から100年、冬季オリンピックから30年
おわりに
ボスニア・ヘルツェゴヴィナについてさらに知りたい人のための文献案内