フランス人とは何か
出版社: 明石書店
- 国籍とは何か? 生地主義、血統主義、帰化の意味を跡づけ、“危機の時代”におけるユダヤ人の国籍-奪、女性・植民地出身者に対する差別や不平等について緻密に検証。膨大な史料を渉猟し、フランス革命以降の国民/外国人の境界線のゆらぎ、平等・包摂の現代にいたる道程を実証的見地から描き出した圧巻の書。
- 本書について
本書における訳語について
略号表記一覧
序論
Ⅰ 近代国籍法の構築
1 アンシアン・レジームから民法典へ――フランス人の二つの革命
一七九〇一七九一年――フランス国籍は憲法のなかで規定される
一七九〇一七九五年――フランス人となるための二つの手段および名誉市民権
そして自動的帰化へ……
一八〇三年――民法典に国籍に関する条文が加えられる
血統主義か生地主義か
ボナパルトの敗北
2 生地主義はいかにして導入されたか(一八〇三‐一八八九年)
居住許可という魅力的な資格
さらに困難となる帰化
一八四八年の幕間劇
二重の枷
外国人の子どもと徴兵制――国家的な課題
民法典改正を阻むもの
フランスで生まれた子どもに平等に義務を課すこと
外国人に対する制限措置
一八八九年――フランス本土における共和国的生地主義の再生
3 国民への援軍としての帰化(一八八九‐一九四〇年)
印璽部の登場
一つの目標――第二世代の「統合」
第一次世界大戦――警戒と疑惑と
人口問題という最重要課題
一九二七年――大胆な案をめぐるコンセンサス
「紙の上のフランス人」なのか
人口増加主義 対 出自による選別――一九三〇年代の闘い
難民をストップせよ!
それでも、帰化を!
Ⅱ フランス国籍のエスニック危機
4 ヴィシー――国籍政策におけるレイシズム
挫折した新国籍法案(一九四〇‐一九四三年)
「好ましからざる者」がフランス人になるのを妨げる
帰化取り消しの標的――ユダヤ人
5 容易でなかった共和国的法制への復帰
「自由フランス」による国籍登録
難航するヴィシー「諸法」の廃止
エスニック・アプローチの回帰
ジョルジュ・モコの敗北
新国籍法
帰化 対 監護される子ども
新しい省、新しい基準
一九五三‐一九七三年――リベラリズムの二〇年
6 フランス国籍のアルジェリア危機
北アフリカ系移民の地位を保障するための一〇年(一九七四‐一九八四年)
国籍をめぐる真の争点――第二世代
極端に走る右派
「賢人」委員会
意思を表明する?
新たな綜合を求めて
第Ⅱ部の結論
Ⅲ 比較と実際運用における国籍
7 生地主義 対 血統主義――フランスとドイツの法律を対比させることの誤り
プロイセンの法律にフランスが与えた影響(一八三〇‐一八四二年)
レイシズムも、ナショナリズムもなく――法律家たちの支配
借用と移転
ネーション概念から独立した国籍法
血統主義の人種的ドイツへの同一化――一表象の分析
二〇世紀のドイツ国籍法
移民と国籍――ヨーロッパでみられる収斂
8 差別されたフランス人たち
国籍法における女性の地位――遅ればせの平等
アルジェリアの植民地被支配者
帰化者の欠格
9 どのようにフランス人になり、フランス人であり続けるのか――実際の運用におけるフランス国籍
広く開かれた二つの手続き――結婚……
……そしてフランスでの出生
帰化の矛盾
重国籍の許容
奪、リベラリズムの代償
どのようにフランス国籍を証明するか
全体の結論
謝辞
附録
原注
文献
資料出所
訳者解題
著者の略歴
索引