世界の他化 ラディカルな美学のために
出版社: 法政大学出版局
- 他への変質としての他化(altération)、物質それ自体の力動的存在を肯定すること。バタイユの唯物論的思考から、新たな…
- 他なるものへの変質としての他化(altération)、世界の物質それ自体の力動的存在を肯定すること。バタイユの唯物論的思考から、新しい存在論と倫理の可能性を開く。
- 「他化(altération)」とは、この語が通常ふくむ「悪化」や「変質」、形の破壊という否定的意味ではなく、異質で他なるもの(autre)への変化と運動を繰り返す、この世界の物質それ自体の力動的存在を肯定することである。感性的=美学的な領域でバタイユの思考が切り開いた変形主義的唯物論から、新しい存在論と倫理の可能性を開く試み。ブルガリア出身の注目の哲学者の主著、「日本語版への序文」付。
- 日本語版への序文
世界の他化──力動的存在論のために
世界の地平──変容
変形主義的唯物論のために
唯物論をめぐる戦いにおける同伴者としてのバタイユ
世界の他化、世界の存続=固執性
序論 他化の政治
いったいなぜバタイユなのか
バタイユと哲学者たち
方 法
超批判
例 証
最後の哲学者と世界の変容
第一章 感覚の変質=他化──アイステーシス的公理
プリミティヴ・アートと形象化された表象の起源
ミメーシスの変質=他化
複合イメージと個別の形態──類型と特異性
模倣的還元
怪 物
絶え間ない変質、イメージ
付記──アリストテレスのアロイオーシス
感覚の変質=他化
メタ‐アイステーシス──限界の感覚的経験
批判的限界、触覚
アイステーシス的他化と美的領野
他化をもたらす身振り、変形された物
偶然、可能態の現実性
革命的唯物論
第二章 物のまなざし
物の執拗さ──近代的表象の批判
猥褻さ
裸体──《オランピア》の現前
魅 惑
付記──〈もの〉
不定形なもの
足の親指
視覚の触視性──ヴィジョンの超批判のほうへ
第三章 感性的経験の超批判──現象学と存在──感性学
直接性、視覚、触覚──現象学的論争
視覚の現象学と超批判
触覚──可逆性と他化
触覚の空虚な核
盲点──触れる触れえないもの
触覚の他化
内在する隔たり──現前の審級(執拗さ)
存在──感性学的地平
世界の物質の強度──火
付記──見ることの他化、身体の他化。プロメテウスとしてのファン・ゴッホ
第四章 裸の真理、イメージ
視覚とまなざし
倫理的直接性──顔、パロール
他化された無媒介性
足への盲目のまなざし。裸の真理
顔の裸性と裸足
ラディカルな美学と超倫理
経験と他化
現前のまなざし
付記──死とイメージ
おそらくは盲目であろう神
世界の現前、イメージ
現前の透明さ
訳者あとがき
索 引