
リチャード・ブローティガン
出版社: 筑摩書房
- 『アメリカの鱒釣り』などが愛され、しかしピストル自殺に至った作家の人生と作品を、翻訳者にして友人であった著者が描く。解説 くぼたのぞみ
- 「あそこに腰かけてる金髪のジーンズ、もしかしたら……。
『アメリカの鱒釣り』の表紙の顔をしている!」
1973年、『アメリカの鱒釣り』を翻訳中だった著者は、
サンフランシスコの日本食堂で作家と偶然に知り合った。
それから10年と少し後、ブローティガンは自らの命を絶つ。
『アメリカの鱒釣り』などでアメリカ、そして日本でも一世を風靡した作家リチャード・ブローティガン。「亡霊」となった少年時代、カリフォルニアへの旅立ち、作家としての成功と苦悩、日本での友情と孤独、ピストル自殺……翻訳者にして友人であった著者が、作家との思い出、家族・友人へのインタビュー、作品のすぐれた読解をもとに、その人生と文学をたどる。
解説 くぼたのぞみ
誰よりも優しく、誰よりも厳しく作品を読み進め、
一人の作家のもっとも大切な資質に切り込んでいく、そのしなやかさ。
藤本和子によるリチャード・ブローティガン翻訳・読解は、
すべての翻訳者にとっての鑑である。
―柴田元幸 - 遺体のかたわらの詩―プロローグ
ⅰ 生と死
死亡記事―父と母
死者についての発言
切れた糸
はじまりと終わり
遺子アイアンシ
だれかが帰らなければ
雨のオレゴンから、陽光のカリフォルニアへ
鮭のスフレでも
書くことしか考えなかった
故郷という亡霊
「新幹線のラザロ」
長谷川四郎とバーベリと―三角関係
アイアンシの十四年
ⅱ 『アメリカの鱒釣り』
鱒釣りの旅への招待状
紙の幽霊
酔いどれから学んだこと
「海洋文学」の系譜
失意の階段から黙示の世界へ
聖なる者
ある映写技師の死
悪しき風
鱒は知っていた
マヨネーズ
ⅲ おだやかでない風景
寄宿詩人
女アル・カポネ
文学との最初の出会い
戦争。その影。
呪われた時間
イサーク・バーベリの原風景
おだやかでない風景
ⅳ ふたつの戦記
ビッグ・サーという場所
しけもく戦記
バーベリの『赤軍騎兵隊』
夢の果てまで旅をして
通過儀礼
ⅴ 終末
メランコリー
椎名たか子さんの回想
書かれた世界という秘儀
忍耐で風化した顔
アイアンシの考え
終末
閉じられた円環
異邦人―エピローグ
おもな参考文献
あとがき
解説 くぼたのぞみ
