歴史学の縁取り方
出版社: 東京大学出版会
- 歴史学はいかなる知的枠組み(フレームワーク)のもと形づくられてきたのか.その時代の状況にも対応し,切りひらかれてきた歴史学は,その枠組みがときには批判されつつも,継承されてきたことを史学史的に論じる.これからの歴史学にとって必要な手がかりを示す.
- 序 章 「事実をして語らしめる」べからず――職業としての歴史学(恒木健太郎)
第1章 戦後日本の経済史学――戦後歴史学からグローバル・ヒストリーまで(恒木健太郎・左近幸村)
[コラム1]「日本経済史」という「学統」(高嶋修一)
第2章 「転回」以降の歴史学――新実証主義と実践性の復権(長谷川貴彦)
[コラム2]帝国主義史研究とフレームワーク(柳沢 遊)
第3章 「封建」とは何か?――山田盛太郎がみた中国(武藤秀太郎)
[コラム3]山田盛太郎の中国観と経済史学の現在(石井寛治)
第4章 経済史学と憲法学――協働・忘却・想起(阪本尚文)
[コラム4]元・講座派の技術論――戦時中の相川春喜における「主客の統一」の試みと科学技術の「民族性」(金山浩司)
第5章 歴史学研究における「フレームワーク」――インド史研究の地平から(粟屋利江)
[コラム5]歴史を書く人,歴史に書かれる人(井上貴子)
第6章 「小さな歴史」としてのグローバル・ヒストリー――1950年代の新潟から冷戦を考える(左近幸村)
[コラム6]アメリカ合衆国における「近代化論」再考(高田馨里)
第7章 読者に届かない歴史――実証主義史学の陥穽と歴史の哲学的基礎(小野塚知二)