和辻哲郎の解釈学的倫理学

和辻哲郎の解釈学的倫理学

出版社: 東京大学出版会
著者: 飯嶋 裕治
  • 和辻哲郎の倫理学の意義とは何か.近代日本思想史の文脈に密着したものでなく,近現代の西洋哲学のコンテクストに置いて(ハイデガー,H・ドレイファス,C・テイラーなど),あくまでも普遍的な理論として捉え全体像を解明し,そこから理論的可能性を提示する.
  • 序 論 和辻哲郎の倫理学理論の全体像の解明のために
     第一節 問題設定とアプローチ
     第ニ節 和辻哲郎の倫理学理論の基本的特徴
     第三節 「了解」概念の基本構図
     第四節 本書で取り扱う和辻の著作と全体の構成
    第一部 人間存在論とは何か
    第一章 解釈学的方法と「日本語で哲学する」こと
     第一節 倫理学の方法としての解釈学的方法
     第ニ節 「日本語で哲学する」という問題構成をめぐって
     第三節 表現主義的言語観との共通性(補助線①)
     第四節 「存在了解」概念の批判的受容(補助線②)
     第五節 「日本語で哲学する」ことの意義
    第二章 所有の人間存在論──存在者の成立構造をめぐって
     第一節 「もの」と「こと」について(存在論①)
     第ニ節 根底的な「ある」について(存在論②)
     第三節 解釈学的方法と所有の人間存在論――存在者の成立構造
    第三章 表現的主体の実現—自覚構造──人間存在の主体性の構造をめぐって
     第一節 「人間がある」ということの二重性
     第ニ節 「いうこと」と「すること」について(存在論③)
     第三節 言としての反省的開示
     第四節 事としての技能的開示
     第五節 「表現する」ことの存在論的構造
    第二部 人間存在論に基づく解釈学的倫理学
    第四章 倫理とは何か,倫理学とは何か──人間存在論から解釈学的倫理学へ
     第一節 人間存在論から倫理学への展開 
     第ニ節 「倫理」とは何か?――「実現」構造から
     第三節 「倫理学」とは何か?――「自覚」構造から
     第四節 倫理学の出発点としての「間柄」概念
    第五章 解釈学的倫理学の二つの主要問題──間柄をめぐる行為論と共同体論
     第一節 手がかりとしての西洋倫理学史
     第ニ節 了解に基づく行為論──マルクスの「社会的存在の学」
     第三節 行為論から共同体論へ──アリストテレスの「社会的人間の学」
     第四節 主体的全体性としての共同体論──ヘーゲルの「人倫の学」
    第三部 『倫理学』における解釈学的倫理学の展開
    第六章 空の存在論──間柄における個別性と全体性の関係
     第一節 「間柄」の構造分析と「空」の存在論──個人と共同体の関係から
     第ニ節 空の存在論における「主体的なもの」とは何か?
     第三節 空の存在論に基づく善悪観
    第七章 信頼の行為論──規範的行為の共時的・通時的構造
     第一節 主体的空間性に基づく行為の構造
     第ニ節 主体的時間性に基づく行為の構造
     第三節 ハイデガーの現存在分析における行為論的議論
     第四節 信頼の行為論
    第八章 歴史—文化—共同体論──「国家の成立」問題をめぐって
     第一節 人倫的組織論の基本構図──公共性と私的存在の相対的関係から
     第ニ節 国家論の位置づけをめぐって
     第三節 民族と国家の関係から
     第四節 世界史の哲学から見た「国家の成立」問題
     第五節 歴史—文化—共同体論──文化共同体の過去から国家の歴史へ
    結 論 解釈学的倫理学の理論的可能性
     第一節 『倫理学』の理論的達成の総括 
     第ニ節 準目的論的行為論(理論的可能性①) 
     第三節 何かを主体として捉えることの倫理(理論的可能性②)
     第四節 倫理学研究の実践的意義
    Hermeneutic Ethics of Tetsuro Watsuji
    Yuji IIJIMA

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