教師の悩みは、すべて小説に書いてある

教師の悩みは、すべて小説に書いてある

出版社: 小鳥遊書房
著者: 波戸岡景太
  • 日本の近現代小説の教師像を「先生」の視点から読み直し、現役教師の悩みの構造を図解・分析する文学案内!
  • 「授業を始めようとしても、生徒が私物をしまいません。
    ……正直、彼らが何を考えているのか分からないのですが、
    いったいどうしたら良いのでしょう?」
    その悩みの《答え》、あの小説に書いてあります。
    『坊っちゃん』『銀の匙』『銀河鉄道の夜』
    『二十四の瞳』『女生徒』『せんせい。』『市立第二中学校2年C組 10月19日月曜日』
    『5年3組リョウタ組』そして『告白』……
    教科書の定番教材から今世紀のベストセラーまで、
    日本の近現代小説の教師像を「先生」の視点から読み直し、
    現場の教師が日々直面している悩ましい状況の構造を図解・分析していく、
    まったく新しい文学案内!
  • はじめに
    第1回 「先生」と呼びあうことに違和感をおぼえます
      先生と呼ばれるほどの……
      『坊っちゃん』からはじまる
      日本の小説にみる「先生の見本」
    第2回 あだ名はどこまで許されますか
      『尋常小学読本』の猿之助
      教員間のあだ名──「坊っちゃん」の手紙から
      『二十四の瞳』の点呼
      村民たちの陰口
      調停者も代理人もいない「教室」
      ウェルテルとミズホ──湊かなえ『告白』の場合
      あだ名と結託
      あだ名の副作用
     コラム そのとき生徒は①「先生のあだ名」
       天麩羅先生ぞな、もし
       奥泉光『夏目漱石、読んじゃえば?』
       あだ名という「いい換え」──群ようこ『都立桃耳高校』の場合
    第3回 生徒対応が苦手です
      授業開始時の声がけをどうするか
      教師が「キレる」タイミング
      極限状態の生徒対応──林京子「空罐」の場合
      書道教師のパフォーマンスは、ほんとうに少女を救ったか?
      きぬ子の背中
      授業空間に「なじむ」のを待つ
    第4回 おもしろい授業なんてできません
      おもしろさという他者評価
      みんなの喜ぶ「修身」の授業──中勘助『銀の匙』の場合
      旧制灘中学校の名物授業
      「ふつうの授業」の作り方──宮沢賢治『銀河鉄道の夜』の場合
      悲観的な先生はお好きですか──高橋源一郎『銀河鉄道の彼方へ』
      宮沢賢治が「先生」だった頃
      悲劇であれ喜劇であれ
     コラム そのとき生徒は②「本当はつまらない修身」
       或る農学生の憤り
       教育勅語と修身
       与謝野晶子のラディカルさ
    第5回 「先生らしさ」に憧れてしまいます
      ロックンロールを語る先生──重松清『せんせい。』
      「先生」から遠く離れて
      「先生らしさ」は何歳からか
      「先生らしさ」を必要としているのは大人だけ
    第6回 嫌われることも仕事のうちですか?
      太宰治『女生徒』の心の揺れ
      有明淑の日記
      アイドルとファンのように──辻村深月「パッとしない子」
      美穂の自意識を追う
      教師のプライベート
      パブリックとプライベートがうまく棲み分けられない学校
     コラム そのとき生徒は③「一対一という幻想」
       古川日出男の「ルート転校生」
       作家と教師の倫理観
       教育にとっての魔術
    第7回 世代論が苦手です
      世代論は愚痴の闘争?──椰月美智子『市立第二中学校2年C組 10月19日月曜日』
      管理職にはなりたくない? ──石田衣良『5年3組リョウタ組』
      権威と権力──河合隼雄の説く「権威」と「権力」の違い
      型破りな教師の定石
      世代論は「権力者」であることの不安を裏返したもの
    おわりに
    付録・先生の見本

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