米寿を過ぎて長い旅

米寿を過ぎて長い旅

出版社: 海風社
著者: 山折 哲雄
  • 「ひとりを楽しむ」「ひとりで生きる」「老いを味わう」ことにこだわり続け、「老後という長い時間をどう生きたらいいのか」という中高年の問いに答え続けてきた著者にとっては、米寿を過ぎても他者への興味は枯れることはない。
    海外を訪れた時の驚きと興奮、国内の秘境に降り立った記憶、時事問題から、スポーツ、宗教、芸術、文学、歴史、人物、果ては人のみならず、動物へ植物へと、その思索と想像の翼は休むことなく羽ばたきを続ける。
    そして、仏教をベースにした宗教家の顔が随所に現れる。生きるということ、老いるということ、死を迎えるということの意味を自らの生老病死に重ね合わせて、日本人の本質に迫っていく。自らの半生を振り返って自伝風とも言える「―序にかえて―『ひとり』のやぶにらみ」は味わい深く、また山折大原案の「くり童子」の可愛らしいイラストがほのぼのとした雰囲気を醸し出している。
  • —序にかえて—「ひとり」のやぶにらみ 
    第一章 時空を超え
     ヘルペスと人情話/天上の音楽/開眼、閉眼、半眼/ふたたび半眼について/幽体離 脱 奇跡の生還/骨噛み/お婆さんのお念仏/ロック嫌い/咸臨丸の後日談/伊藤比呂美という詩人の面白さ/二重国籍者/リニア新幹線/「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」 「東北沈没」/愛媛、久万高原の「投入堂」/「天女」と「森」の物語/羽生結弦とマイケル・ジャクソン/発想を転換するとき/パリの大聖堂と森 
    第二章 「ひとり」の八方にらみ
     美空ひばり—叙情の旋律—/ひばり歌謡10選/三つの時間と無常/乾いた無常、湿った無常/「座の文化」を再考する/宴の松原/京都千年の歳事は京都一極集中/「善」と「悪」の勝負—日本人の宗教観—/師殺し、主殺し/『夕鶴』について/富士の山とスカイツリー/一と1/潮流体験と遍路の旅/啄木の歌碑/サルとヒト/神の死/「忖度」騒動を診察する/紫式部と夏目漱石の違い/恨の五百年/「象徴翁」の誕生/罪か赦しか 
    第三章 目には花
     視力の衰えとともに/勝持寺の西行桜/草の化けた花/佐渡の落日/「美しい目」から「可愛い目」へ/一目妖怪/ガンジス川で散骨/マザー・テレサとの出会い/微 醺のバラ/主役を花に/タテ・ヨコ・タテの道徳観/天上の花園/鎮める香り、煽あおる香り 六角堂の夢/花降る海/父と花/いまを生きる聖ひじり/小さな星条旗/「はんなり」の奥行き/木の葉、舞う/まぼろしの花、まぼろしの人 
    第四章 静かな覚悟
     「残心」と「無心」/佐久間艇長と漱石/広瀬中佐と漱石/大将の度量と副官の器/仇討ちの現実/北条時頼と「鉢の木」/支倉常長の船出/藤原道長の浄土/高浜虚子と柿二つ/アルツハイマー病の告白/ブッダ・フェースとオキナ・フェース 
    —あとがきにかえて— 京都の空の下で逝く 

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