シリーズ自句自解Ⅱベスト100 対中いずみ

シリーズ自句自解Ⅱベスト100 対中いずみ

出版社: ふらんす堂
著者: 対中いずみ
  • ◆必読入門書
    既刊句集より自選ベスト100句に解説をつけた入門書。
    代表句が網羅され、それがどのように生まれたか知ることができる魅力的な一書。
    ◆収録作品
    さきほどの冬菫まで戻らむか
    二〇〇六年春、第一句集『冬菫』を上木した。田中裕明主宰「ゆう」での五年間の句をまとめた。掲句、主宰からは「いままで歩いてきた風景が気になることがよくあります。きっとそこに自分の一部を置いてきてしまったのでしょう」「戻ることができるのは稀有なることで、ほんとうは過ぎ去ったものはかえりません。だから輝くのです」と書いていただいた。初期作品集の中で、二度と戻らぬ、輝いていた日々の象徴のような句だ。(『冬菫』)
    ◆私が大事にしている三つのこと
    季節は移りゆく。日本に四季があり、四季それぞれの恵みがある。春だけでも「初春」「仲春」「晩春」と大きく三つに分類されているが、厳密に言うと、毎日、あるいは瞬時瞬時に移り変わっている。今日の出会いは今日しかない。明日は日の加減が変わり、風もちがう。(略)私にとって季語への愛着は、たぶん、移りゆくものへの愛惜にひとしい。すべては諸行無常、変化の中にある。木の芽がほんのすこしほぐれたり日差しの傾きが変わったり、鳥がふいに啼きやんだり。琵琶湖の湖面も時間差で刻々と変わっている。

人気の小説/文芸

クレジット表示/商標について
サイトについて